医療現場で看護を担う専門的な人材として確保されているのが、正看護師と准看護師である。資格の違いはあるものの、正看護師も准看護師も医師の指示を受けて注射や点滴などを行ったり、機器を扱って治療に関わる行為を行える点では違いはない。実質的に医療現場で行っている仕事内容は同じなのが現状であるものの、どちらの人材を確保するのが課題になっているかは医療現場によって大差がある。
切実なのは、診療報酬への影響と人材としての給与水準の違いの二点である。診療報酬の観点からは病床数あたりの看護師数が診療報酬に大きな差異を生む点が重要であり、収入を増やそうと考える大規模の病院では看護師を確保することが課題となっている。一方、准看護師に比べるとよく勉強をしていて、国家資格も有している正看護師の方が給与水準は高い。人件費の高騰が切実になっている中小規模の病院では、同じ仕事ができるのなら給与水準の低い准看護師で戦力になる人材の方が助かるのが実情であり、実際に准看護師を積極的に募集していることが多い。
医療現場では看護を担う人材の確保が課題になっているものの、正看護師を求めるか准看護師が望ましいかについては病院によって大差があるのが現状である。換言すれば、必ずしも看護を担うために看護師資格を取得しなければならないわけではない。働きたい職場によっては、准看護師になった方が採用されやすいという状況が生まれてしまうのも否めない。しかし、近年では医療費の見直しが行われており、いずれ資格の違いで採用率が変わるということはなくなるかもしれない。それを期待できる医療費についての実態は【日本医療の明日を考える】を見てみるといいだろう。